2004 1/4
B級CPUの挑戦〜ApplebredとThorton〜 |
能力を封印されたCPUたち
今回の主役、AthlonXP2400+とDuron1.6GHzです。
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(左)AthlonXP2400+(Thorton)、(右)Duron1.6GHz(Applebred) |
まず、左側ですが、BartonコアのL2キャッシュを半減させたL2キャッシュ256kB、Vcore1.65V、133MHz*15=2000MHz駆動のAthlonXP2400+です。
現行のThoroughbredコアのAthlonXPを置き換えるために登場したものなので、各スペックはThoroughbredのそれと全く一緒になっています。FSB266MHzのCPUはまだ需要があるようなんですが、現在のBarton(FSB400と333)とThoroughbred(FSB333と266の2本立ててで行くのではコスト的に宜しくない、ということで基本設計はBartonと一緒にし、その上でFSB266MHzとして出荷すればウエハーが1本で済み合理化が図れる、というAMDの狙いがあるそうです。またL2が512KBでは使えないが256KBに制限すれば使えるCPUも
Thortonとして出荷できるので、1つのウエハーからの歩留りが向上する、というメリットもあります。まあ、あくまで推測なのですが。
まあ、現実(少なくとも2003年年末)にはThoroughbredの在庫が有り余ってるのか、それともBartonのL2キャシュ不良品ができないのか、市場にはThoroughbredコアのAthlonXPが溢れ返っておりまして、ThortonコアのAthlonXPを探すほうが大変なわけですが・・・。
まあ、ショップとしては、同モデルナンバーのThoroughbredコアのそれと値段が変わるわけでもなく、性能もほとんど一緒なので積極的にThortonを入荷する必要も無いんでしょうが・・・同じモデルナンバーのCPUが2つあったら売るほうも買うほうも紛らわしいだろうしね。
で、次に右側のDuronですが、ハッキリ言って見た目はThoroughbredのAthlonXPそのものです。でもApplebredというコア名のDuronなんだそうです。
Duronというブランド名はMorganコア1.3GHzを最後に消滅したものと思われましたが、2003年の9月ごろひょっこり復活しました。
なんで今さらDuronなんか出てきたのか?という疑問もあります。なんか、東南アジア等のバリューPC向けに作られた、とか言う話もありますが、ぶっちゃけた話、Thoroughbredの不良在庫を捌きたかったんでは無いか?と思います。
いろんなところで聞くに、ApplebredのDuronにはCPUIDが680(Thoroughbred A-step)と681(Thoroughbred B-step)が混じってるようですし。
まあ、ThoroughbredコアのL2キャッシュを64KBに制限すればDuronになってしまうわけで・・・
とまあ、各CPUの説明を要約すると、
ApplebredのDuronは、ThoroughbredのAthlonXPのL2を64KBに制限したものであり、
ThrotonのAthlonXPは、BartonのAthlonXPのL2を256KBに制限したものである。ということです。
つうことで、それぞれのL2キャッシュを復活させ、本来生まれるはずであった姿に戻してやろう、というのが今回の趣旨です。
L2キャッシュを復活さすには?
これらキャッシュが制限されたCPUは表面上のL2ブリッジが1箇所切断されています(Duronには2箇所切られてるものもあるようですが・・・)。ので、切られたL2ブリッジを繋げてやればL2キャッシュは復活するはずです。まともに動くかどうかはまた別問題ですが。
それにしてもL2キャッシュを司るブリッジがL2・・・なんかのシャレのつもりなのか?AMDよ
んで、L2を結線させるわけですが、今回のAthlonXPとDuronは配線が浮き出ている新しいタイプ(俗に言う刺青)なので、まずはブリッジの端子を露出させなければなりません。
手順
1.まずカットされている溝をボンドなどで埋める。
2.端子を針などでほじくって露出させる。または#1000程度の耐水ペーパーで研磨する。この時、削りカスが周りに飛ばないよう注意すると吉です。
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針で突付きます。 画像はL11を加工してるところ。 |
または耐水ペーパーで研磨します。 |
端子を露出させたところ。 |
上記の画像は参考のためにクローズされているとこの端子を露出させたので、溝埋めの作業は行ってません。
3.結線させたい端子の周辺をマスキングしてコンダクティブペンor鉛筆で結線します。
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マスキングしてるので 適当に塗ります(笑 |
剥すとこんな感じ。ちょっと太いかな? |
この一連の作業を行うと保証はなくなるので自己の責任で行いましょう。
あと、今回のテストを行うパーツですが、
M/B AOpen AK77-400N(VIA KT400A)
MEM PC2700 CL2.5 512MB*2(Lei)
VGA Geforce2MX400
HDD HITACHI 2.5インチ 15GB
こんな構成で行います。
1.Applebred Duronの場合
まずはDuronの64K→256K化からやってみましょう。先に述べたとおりApplebred DuronはThoroughbredの不良在庫ではないかと思われるので、比較的256K化しやすいのではないでしょうか。まあ、動くかどうかはやってみなわからんのですが
まずは、何も加工せずに起動させて見ます。傷モノにしてから動かんでは初期不良交換もできないですし。
・・・さしてみたところ、ちゃんと動くようです。まあ、BIOSを最新にしてもUnknown CPU 1600MHzなわけですが。
んで、オーバークロック耐性を適当に調べ、いざL2加工に入ります。んで、起動させますと
AthlonXP1600MHz
・・・あっさり成功のようです。BIOSでもしっかりAthlonXPを認識されました。
オーバークロック耐性など
Vcore | L2=64k | L2=256K |
1.65V | 2332MHz | 2332MHz |
1.55V | 2240MHz | 2240MHz |
1.5V(定格) | 2166MHz | 2166MHz |
1.4V | 2000MHz | 2000MHz |
1.25V | 1833MHz | 1833MHz |
1.25V | 1666MHz | 1666MHz |
BIOS上の認識 | UnknownCPU | AthlonXP |
WCPUID上の認識 | Duron Applebred | AthlonXP Thoroughbred |
CPU ID | 0681 | 0681 |
UD(cancer,20ligand,CPU:1866MHz)で 1Resultを返すのにかかった時間(平均) | 6:13 | 5:02 |
L2が増えてもオーバークロック耐性はほとんど変わりません。耐性的にも苺皿そのものです。ただVcore1.25V以下ではどんな周波数に設定しようとも起動しませんでした。
CPUのせいなのかマザーボードのせいなのか、イマイチはっきりしませんが。
ベンチマークなどは先人の記録がいろいろあると思いますので(他力本願的思考発動)、UDの解析速度を量ってみました。64kでは24時間起動で4Resultがせいぜいですが、256Kでは約5Resultとかなりの性能向上が見られます・・・って、UDやらない人にはなんのこっちゃ?なんでしょうが。
やはりApplebredのDuronはThoroughbredの使いまわしという予想は間違っていなかったようです。今は苺皿もほとんど見かけないようですので、これを代用として使うのもいいかもしれませんね。
Thortonの場合 BACK