2003 1/11

静音化について

HDDについて
静音化をするときにネックになるパーツの1つ、HDDです。CFをHDDの代わりに使いOSなどをインストールして使うことも出来ますが、容量が小さい、値段が高い、転送速度等々の問題より実用的じゃありません。
というわけで、ここではHDD自体が発する音と、間接的に発生する音とに分けていこうと思います。

1.HDDから直接発生する音
HDDから発生する音は主に回転音シーク音の2種類に大別されます。まあ、そのほかにもseagateのBarracudaATA IVで発生する「きゅ〜」という音や、IBMのHDDで発生する「リーン」「ぐきゅぁー」音など、そのHDD独自の音というのも存在します。また「カコンカコン」とか「カッツンカッツン」とかいってる場合は大抵HDDが死亡してます・・・と、こんなことまで書かなくてもいいか。

回転音
以前は回転音が静かなHDDといえば低回転(5400rpm)を使うのが鉄則でした。しかし、2001年7月にseagateから流体軸受を採用したBarracuda ATA IVが発売されその状況は大きく変わることになります。7200rpmにも関わらず回転音は5400rpmの物を含めた他のHDDよりも静かで、それでいて(当時としては)最速の転送速度(内部転送速度69.4MB/s)を誇り、超静音、超高速ドライブとして人気を博しました。ちなみに発売開始から1年半たった現在でもHDD売れ筋人気ランキングのBest5には必ず入っていてその人気の高さが伺えます(ただ単に、後継のBarracuda ATA VがIVとあまり性能面で変わってないだけ、ともいう)。
というわけで、回転音を抑えたいからといって積極的に5400rpmのHDDを選ぶ理由はあまり無くなってきている、と言いますか、5400rpmのHDD自体が市場から減っていて、ほぼMaxtorとWestern Dizitalの2社だけになってしまって選択の余地が狭まってしまっています。というわけで、いま選ぶのではあれば7200rpmの物でも流体軸受を採用したものを選べばそれなりに静音化が図れるでしょう。
それにしても、外れを掴んだ人には悪夢としか言いようがないDTLAやゴムパンツのU10が静かだと言われてたことが、今となっては考えられないほど進化してますね。

シーク音
シーク音、つまりはHDDにアクセスしているときに「カリカリ」とか「ガリガリ」とか言うあの音ですね。以前使ってたBarracudaATAIIなどは「ガリガリ」どころではなく「ゴリゴリ」という物凄い騒音を撒き散らしていましたが、今ではそのような轟音を立てるHDDは少なくなってきました。IBMの120GXPが少し五月蝿いかな?
シーク音については気になる人と気にならない人とがいるようで、私はシーク音の方はさほど大きくても気にならないので(逆にキーンという回転音は嫌い)特に対策はしてないんですが、気になるという人は各HDDメーカーに静音化ツールというものがある場合があるので、多少パフォーマンスが落ちても静音化したい、という人はこれを使うのもいいでしょう(ちなみに最初から静音モードになってるHDDも存在します)。
ちなみに個人的な意見ですが、今まで使ってた3.5インチHDDの中でシーク音が最も静かだったのはBarracudaATA IVでもなく、DiamondMax16でもなく、120GXPでもなく、ちょっと昔に出たMaxtorのDiamondMax VL40という5400rpmのHDDで、ボールベアリングのHDDですが回転音もそれほど気にならず、シーク音に至ってはほとんど聞こえないという優れものでした。

少しでも騒音を抑えたい
という人は、5400rpm流体軸受のHDDを使うか、HDD静音BOX(スマートドライブ等)を使用しましょう。

HDD静音BOX「スマートドライブ」
HDD(IBM 120GXP)を装着した状態
ちなみに画像はねじ一本に至るまで銅で出来た
「Smart Drive copper」
物凄く重い(笑

こんな弁当箱みたいなもので\6000程度しますが、その効果は絶大です。
もっとも耳をくっつければシーク音くらいは聞こえてしまいますが。

このスマートドライブに5400rpm流体軸受のHDDを入れて使用したところ、ほぼ無音状態になりました。
しかし、先に述べたように5400rpmは選択の余地が少なく、積極的にリリースしているのは実質Maxtorのみという状況になっています。 seagateからBarracuda5400.1という5400rpmのHDDが出たようですが。

2.HDDから間接的に発生してしまう音
HDDから直接音は発生していないが、他の要因によって結果的にパソコン全体の騒音が大きくなってしますことがあります。
まあ、大別するならば振動(共振)発熱でしょうか?

発熱と消費電力について
HDDの発熱は結構バカにならないものがあります。といってもCPUのように燃えたり(Fireball lctはチップが燃えたりしましたが)とかはしませんが。
大体HDDの上限温度は各メーカーからのデータシートによると60度前後とされています。記録面(プラッタ)が超高密度になるにつれ、ちょっとした熱膨張等でもHDDは致命的なダメージになりかねません。HDDは熱にとても弱いのです。
また、結構電力を食います。小型ベアボーンなどあまり容量の大きくない電源を使用している際にHDDを2つ以上付けるとたちまちパソコン全体が不安定になります。というわけでちょっと消費電力等について考えて見ましょう。

下に各3.5インチHDDのデータシートより引っ張り出した物を示します。

回転数メーカー製品名軸受容量プラッタ枚数騒音アイドル時の消費電力
7200rpm IBM120GXP(AVVA) BB40GB13.0Bel---W
BB120GB33.1Bel6.7W
120GXP(AVVN)BB40GB13.1Bel4.8W
seagateBarracuda ATA IV FDB40GB12.0Bel8W
FDB80GB22.4Bel8W
MaxtorDiamondMAX Plus9 FDB80GB1(or2?)2.5Bel7.3W
5400rpm seagateU6 BB40GB12.9Bel5W
BB80GB23.0Bel5W
MaxtorDiamondMAX 16 FDB80GB1(or2?)2.4Bel5.6W
※軸受の欄 BB・・ボールベアリング(Ball Bearing) FDB・・流体軸受(Fluid Dynamic Bearing)

まあ、異なるメーカーのデータシートに載ってる値ってのは案外当てにならないものがあったりしますが、まあ参考程度にってことで。
大雑把に見れば、
1.BBよりFDBのほうが(回転数に関係なく)騒音が低い
2.プラッタ数が少ないほうが騒音、消費電力が低い
3.5400rpmのほうが消費電力が少ない
3.については唯一IBMのAVVNが7200rpmなのに5400rpmの物より消費電力が小さくなってますが、 これは省電力化が図られたものなのでこのような結果になっているのでしょう。ただAVVNは残念ながら20GBと40GBの2種類しかありませんので、大容量のものを使うときは選択から外れてしまいます。
ちなみに各HDDともスピンアップ時には25W〜39W、シーク時には12W程度の電力を消費するみたいです。これらはデータシートによっては載ってない物もあるので一概に比較は出来ませんが。
ただ騒音を抑えたいのならば回転数にはこだわらず流体軸受の物を選べばいいようですが、なるべく発熱を抑えたい(つまり廃熱のためのファンを減らすor無くす)のならば、5400rpmの低回転のHDDも十分選択の範囲内に入ってくる、と言えます。

軸受の違いによる消費電力
BBとFDBとでは、消費電力は違ってくるんでしょうか?なるべく同一メーカー同士の製品と比較したほうがよろしいか?と言うことでMaxtorのDiamondMAX16とD540Xのデータを以下に載せます。
回転数メーカー製品名軸受アイドル時の消費電力
5400rpm Maxtor DiamondMAX 16FDB5.6W
DiamondMAX D540XBB3.75W

騒音についてはFDBの方が優秀ですが、消費電力と言う点ではまだBBにも分があるようです。
単体で使うのではなく、スマートドライブ等の静音BOXに放り込んで使うのであればFDBもBBもほとんど騒音は遮断されて聞こえなくなります。それなら消費電力の低いBB採用のHDDでもいいんじゃないか?とも言えます。


・・・っと、ここから下はあくまで私の主観なんですが、熱くなるHDDを順に並べていくと
BarracudaATA IV(FDB 7200rpm)≧DiamondMAX16(FDB 5400rpm)>120GXP(BB 7200rpm)>>U5(BB 5400rpm)>DiamondMAX VL40(BB 5400rpm)

実際使ってみた感じはこんなもんでしょうか?特にIOの外付けケースに入ったDiamondMAX 16は、使用中かなり発熱し冬のこの時期かじかんだ手を暖めるのに重宝してます(笑。

2.5インチHDDはどうなのよ?
さて、性能は犠牲にしてもいいから極力消費電力を抑えたい、と言う人に持って来いなのが2.5インチHDDです。
メーカー製品名回転数軸受最大容量騒音アイドル時の消費電力
IBM Travelstar60GH5400rpmFDB60GB2.5Bel1.3W
Travelstar40GH4200rpmFDB40GB2.4Bel0.95W
HITACHI DK23EA4200rpmFDB60GB2.4Bel0.65W
富士通 MHR2xxxAT4200rpmFDB40GB----0.65W

さすがノートパソコン搭載用のHDDとあって、消費電力は3.5インチHDDの比じゃないくらい低いです。スピンアップ時も概ね2.5W前後と 3.5インチHDDのアイドル時の消費電力よりはるかに低い値で動作します。
容量も60GBと比較的大容量なものが出て、5400rpmという(2.5インチHDDとしては)高速回転のものも登場し、少し前の3.5インチHDDに迫る性能があります。
ただ、気になるのが騒音は3.5インチのFDB採用のものと大して変わらないと言う点です。これはひとえに2.5インチHDDが五月蝿くなったわけではなく、3.5インチHDDの静音化がすさまじい勢いで進んでいるためで、今まで2.5インチHDDの特徴の一つである低騒音という長所が薄くなってしまっています。まあ、静かなことは静かなので、静音目的で導入してもいいでしょうし、発熱を抑えるために消費電力の低い2.5インチHDDを選択肢の一つに加えるのもいいでしょう。

共振について
・・・は、また今度で・・・
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